病院外で活躍する先輩インタビュー 「看護師国家試験はツラくても頑張る価値のある試験」

看護学生のみなさんに、多様なキャリアを知っていただくべく、病院外で活躍する先輩インタビューを連載でお届けします。 インタビューの最後には、国家試験を迎える看護学生に向けてのメッセージもいただきました! 
 

本記事のポイント 

1.なりたい・なりたくない自分像が原動力になる 
2.実習は、できない・わからないを乗り越える力がつく機会 
3.国家試験は唯一、ひとりで乗り換える壁 
4.国家試験合格が圧倒的に選択肢の幅を広げる 
 
今回お話を聞いた方  長谷川みゆきさん  

 

略歴

2012年に大学卒業・看護師免許取得後、6年間病棟で看護師として勤務ののち、クリニックで訪問診療同行看護師として勤務。 結婚・出産を経て、バランスボールでの産後ケアに出会う。 

現在は、デイサービス看護師 兼 機能訓練士としてのお顔と、産後ママや子育て中のご夫婦向けのレッスンや講座を開催するインストラクターとしての両方のお顔を持つ。 

 

「わたしが大切に思うのと同じくらいの気持ちでお父さんを大切に思ってよ!」

ネガティブな気持ちからはじまった看護師を目指す気持ち

 

看護師という仕事を意識するようになったのはいつですか?

明確に<看護師を目指す>と決意したのは小学校3年生のときです。 そのときに、父が入院することがあって 当時わたしは3年生だったから家で妹とお留守番していて、お母さんが面会に行くという状況だったんですよね。

なかなか父との面会の機会がなかったので、子ども心に お父さん大丈夫かなあ と思っている中、やっとこさ面会に行けて、 お父さん大丈夫なんだ!退院できるんだ! って思いながら、その場にいた看護師さんに 「お父さん大丈夫ですか?」 って聞いたら、あんまりとりあってもらえない感じで 「あ、はい と言われたんですよ。

わたしは え?なんで?なんなの?子どもだって心配してるんだけど!) (わたしが大切に思うのと同じくらいの気持ちでお父さんを大切に思ってよ! ) と思って。

このときの看護師さんにネガティブな感情が芽生えたので、 (お父さん、お母さんたち家族を助けるのは、わたしがやる! というので、家族の健康を守りたい、ということがきっかけで、このときからずっと看護師になりたい、と言い続けていましたね。 

 

「患者さんと看護師さんって人と人なんだ。もっと看護師になりたいな」

前向きに目指すきっかけとなった職業体験 

 

中学校・高校は看護師を目指すと決めたからこその思い出やエピソードはありますか?

中学校での職業体験で、周りの友人たちは幼稚園とか保育園、コンビニに行きたがる中、リハビリ病院に行きたいと思って、めちゃくちゃ遠かったんだけど(笑)、はるばるバスに乗って行きましたね。

リハビリ病院だったので時間の流れとしてはゆるやかな中で、 実際に看護師さんってこんな思いをもってこうやって仕事をしてくれてるんだ!) っていう風に初めてポジティブな感情になりました(笑)

ここで出会った看護師さんがイキイキと働いている印象があったので、そこからは前向きに看護師を目指すようになりました。

看護師さんは(リハビリのために)ここまではやってほしいというのがもちろんありますが、患者さんも人間ですし患者さんがすべてを「はい」と言ってくれるわけではないので、看護師さんが話を聞いてあげていたりとか、メリットをきちんと説明していたりする姿をみていい意味で、人と人なんだなだったらもっと看護師になりたいなって思えましたね。 

 

それまでは看護師さんの仕事ってどんな印象でしたか? 

どちらかというと医療者主体というのか、患者さんに言うことを聞いてもらう、みたいに感じていました。 子どものときに お父さんを大切にしてもらえなかった と思ったことが影響していたんでしょうね。 

でも現場を見たらそうではなかったし、そこに努力している人はたくさんいるな、と感じました。 

高校生のときはいかがでしたか?

高校生のときは、学校の先生になりたいなって思ったこともありました。小中高と学校の先生に恵まれていたというのもあって、良い職業だなって。 <人と人>っていうのがわたしには響くので、<患者―看護師>だけではなくて世の中にそういった仕事ってたくさんあるなって気づいたんです。 

高校生って、進路選択で大事な時期になるじゃないですか。 先生と看護師の両方をとることは難しそうだ、と気付き、家族とたくさん話したことで、先生という職業よりも、<健康に携わる><人と人とが関わる>仕事に興味があるということで、看護師を選びました。 

実際に大学に入学してみて、いかがでしたか? 

入学したのが、総合大学の中の一つの学部だったので、1年生のときは(月)~(木)はみんなと同じキャンパスで学んで、(金)だけ看護のキャンパスに通ってたんですよね。なので、普通の大学生みたいな感じでした。

2年生から看護のキャンパスメインで専門的な学習になり、おもしろかったです。<知らないことを知れる>というのともともと<健康でいたい><家族に健康でいてほしい>と思っていたので。 もちろん友達と「テストやばいよねーとか、「この授業長いよねーとか、言い合ったりもしました。 

このときにもう一つの選択肢[先生]に後ろ髪引かれることはありませんでしたか 

なかったです。友達に恵まれていたというのもあります。仲間がみんな看護師を目指していたからですかね。看護師になりたい具合はそれぞれでしたけど、でもみんな同じ方向を向いているというのは大きいと思います。 

 

「できない」「わからない」を乗り越える力をつけてもらった実習 

 

実習はいかがでしたか? 

記憶に残ってますし、 実習がなかったら今の私はなかった と思ってます めちゃくちゃ怒られましたし、全然寝られなかったし、翌日が休みの金曜日が楽しみすぎた(笑) 「ラクだったから、楽しかったという思い出ではないけどできないことができるようになっていくことは辛くなかったのかもしれないですね。 

医療現場って、何かがあってからでは遅い現場で、 経験して次頑張ろうね』」 って言えることばかりではないのも分かってて、厳しい声掛けをされるのは承知の上で行ってるんですけど、それでもやっぱりできないわからないことが実習の現場では大量に出てくるんですよね。机の上で考えればわかることも、ナースステーションで聞かれるとわからない、とか。 

自分のわからなさにひいちゃうとか、「できない・わからない自分が悔しい」、「恥ずかしいからもう帰りたいとか自信をなくしたり、辛い気持ちになることはあるけど、ここをわからないままにはしておけない、というのが実習でのチャンスだったし、わからなければ先生に聞いて軌道修正を毎日毎日していくことで必ず成長した部分があると思ってました。 

成長の大小はあるけど、絶対何か成長してる。これは自分もそうだけど、仲間を見ても思ってました。そういう姿は素敵だなーって。看護の知識をつけていくこと以上に、できないこと・わからないことを乗り越えていく力をつけてもらったのが実習だったなと思う。 実習先の病院で出会った患者さんに 「頑張って看護師さんになるんだよー って言ってもらえたのも力になってました。 

 

国家試験は、唯一、本当にひとりで乗り越えなきゃいけない壁 

 

国家試験の勉強はどうでしたか?

とにかく図書室の記憶しかないです。家では勉強ができないタイプだったので、行かなくてもいいのに毎日学校に行って、図書室に行って、みんなで勉強してお昼食べて、勉強して、の繰り返しでした。 

国家試験は、唯一本当にひとりで乗り越えなきゃいけない壁。 勉強するまではみんなの力があるけど、当日自分が正解できなければ合格できない、という点では実習とかと比べてのプレッシャーはケタ違いに大きいですよね。 2月が近づいてくるとざわざわしてきてました、あのざわつきは今でも覚えています。

そのざわつきはどうしていたんですか?

とにかく学校に行って、仲間に会ってました。家族は応援はしてくれるけど国試を受けるわけではないし、同じプレッシャーを感じている仲間と一緒に過ごすことがよりどころになってましたね。 

 

国家試験を迎える看護学生に向けてのメッセージ 

 

国家試験を目前にしている看護学生に伝えたいメッセージはありますか? 

めんどくさい、苦しい、逃げたい気持ちもあるかもしれないけど、 今はとにかく頑張ってほしい。それだけの価値がある。 看護師免許を持つ自分と持たない自分では、その後の妻としての選択肢とか、お母さんとしての選択肢とか、一人の女性としての選択肢が絶対違ったと思う。圧倒的に「看護師免許」が選択肢の幅を広げてくれた。 例えばスーパーのレジ打ちしたら時給1000円だけど、デイサービスの看護師でやりたい仕事しながら倍以上稼げる、って思うだけでも、ね(笑)  

実習も、国家試験の勉強も、これだけの経験をしたという自分がいるから、どこに行っても頑張れる、という気持ちでいられる。 友人たちもみんな言いますよ、「看護師取っててよかった」って。 

 

長谷川みゆきさんインタビュー連載

①<本記事>

看護師になるという決意~国家試験まで

② 公開中

卒業後の進路決定~精神内科病棟での4年間

 

 

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